『悪霊 ギロ』                              イラストレーション Hangedman
夜、繁華街の裏通りや、人気のない田舎道を歩いていると、美しく、派手な女性が声をかけてくる。彼女が悪霊ギロである。誘惑された男性は、彼女とデートや性交といった幻覚を見るという。しかし最後まで彼女の正体に気が付かなかった者は、鎌のように鋭利な刃物で全身をズタズタに引き裂かれ、激痛で幻覚から覚めた者に、もはや命は無いという。ある屈強な男が、これを討伐したところ、実体は影の様に無く、正体はえぐり出された醜い眼球で、それこそが彼女の弱点だったという。出所がはっきりしない都市伝説的な面が大きいが、売春婦だけを狙っ猟奇殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』事件の被害者を絡め、売春婦にうつつを抜かす男達を戒めるために語られたキャラクターなのではないかと、私は推測する。

現代、日本に媒介する『セレブ』と呼ばれる物欲主義。それらは、今の不景気、格差社会と重なり、さらに高額収入者のみを崇拝する元凶となっている。一昔前では、『セクハラオヤジ』とイチャモンをつけられていた会社の上司も、金を持っていれば『チョイワルオヤジ』と言われ崇められる。だがそれは収入格差が広がらなければあり得ない事だし、収入格差が広がれば、それだけ犠牲となる者が必ず存在するのだ。そんな犠牲者を見下し、高額収入者を崇めるセレブ思想。それを助長する者がいるから格差はますます広がるのだ。それは、今の経済を握る『オッサン』を崇める、強いて言うと金を崇め、さらには高額収入者をも喰い物にする事により私腹を肥やす女達なのではないか?そう思いセレブ思想に一石を投じる作品を描きたいと思い描いた作品。
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