今の和歌山県のとある寺(国内的にも相当有名な寺院の一つ)に、美しい容姿を持つ一人の僧侶がいた。彼は寺へと続く山中の道で一人の女性を助ける。女性は僧侶に求愛するが僧侶はそれを拒む。しかし女性は執拗に僧侶を追い回し、ついには巨大な邪龍となって追いかけてくる。僧侶は寺の鐘を落としその中に身を潜めたが、邪龍は鐘に巻きつき自らが吐き出す炎で僧侶と共に焼け死んだとされる。

元来の云われでは、女性からのストーカーという様な内容だが、イラストでは性別、内容まで大きく変更している。というのも、ジェンダー的な不平等を訴えるにあたり、どういった内容にすべきかを考えた。「女性被害の問題ってテレビとかでもよく出てくるじゃない。女性の権利平等とかさ・・・だから改めて言う必要って無いのかもね。じゃあ、今語らなければならない憤りとは何か?」と考え、世に言う女性保護の精神の影において、虐げられても日の目を見ない問題に着眼し、痴漢冤罪をテーマとした。
女性の人権の平等化や、社会進出といった話は、多くの問題として扱われ、まだまだ大きな隔たりではあるものの、次第にその壁を取り去りつつある。これは大変に素晴らしいことである。
しかし中には、この問題を利用し権力や支配として振るうようになった女性、女性を味方につけることによって権力の拡大を企む男性の考えが見え隠れすることがある。
それらがある以上、そういった権力を利用する者たちの所為で、未だ女性の権利が男性と平等に扱われているとは言いがたく、そのしわ寄せが今度は男性を襲うこととなった。その問題の果てとして出てきた問題が、痴漢冤罪なのだろう。
タイミングが良いことに、最近映画にもなったが、痴漢の問題と同様、未だ明確な解決に繋がったわけではない。JRでは女性専用車両も登場したようだが、男性専用車両があるわけではなく、女性のご機嫌をとったとしか思えないお粗末な対応だと作者は考える。
そも、乗車人数200%を超えるとも言われる通勤ラッシュなどに対して、企業側が便数や車両数を自らの収入のために増やさず、痴漢やスリの温床とするといった企業体質にも大きな問題があるのではと作者は思うのだ。

イラストでは、小遣い稼ぎという名目で、痴漢をでっち上げた女子高生が、冤罪によって全てを失ったサラリーマンに、鐘巻のストーリと同様、憎しみの炎をつけられている。
また元サラリーマンである双頭のドラゴンゾンビーにも、ジェンダーという名の♀記号型の槍が無数に突き刺さっているデザインとし、胴体は鉄道の車両とした。
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